泳ぐのに安全でも適切でもありません。
江國 香織 / 集英社
時間が空いたので読んでみた。
彼女の作品に共通するどこか不可思議な女性達のお話。
第15回山本周五郎賞受賞の傑作短篇集。
エッセイの様なアッサリした本なので、山本周五郎賞作品だと思って読むとちょっと拍子抜けかも。
相変わらず、ある意味イノセントでスウィートでデンジャーなお話ばかりでした。
彼女にかかると日常がとても色鮮やかなものになる。
例えば雨、薄暗い部屋とか柔らかな雨の音、水に濡れて匂いたつ植物やアスファルト。
本を読むという行為でここまで本の中と同一化させてくれる作家は彼女だけだと思っている。
繊細に選ばれた言葉でまるでその場に居る様な錯覚を受ける。
1作品読む度にため息がでる。
たまに中々戻って来れない。
多少難解な乙女心的お話が多いので、苦手な人は苦手かもしれない。
でも、1度彼女の本を読んでみることをお勧めします。